タイトル | 傷物語 |
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原作・作画 | 西尾維新・VOFAN |
出版社 | 講談社/文芸 |
傷物語の次の巻にあたるものですが、ここから読み始めても楽しめます。
主人公阿良々木暦が如何にして冷血で熱血で鉄血の伝説の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの眷属となり、人間もどきになるまでの物語です。
傷物語のあらすじ紹介
人間強度が下がるから」と友達を作らず学校生活を送る主人公阿良々木暦は校内で駅で吸血鬼が出るといううわさを聞きます。
嫌な予感がしながらも好奇心に逆らえない暦は、噂の駅に行ってしまいます。
そこは、普段と違う空気をまとっており、四肢をもがれた金髪金眼の恐ろしいほど美しい女性に助けを求められます。
それも「童を助けさせてやろう」と弱り果てているはずなのにとても高慢にです。
この助けに暦は答えるのか。
それとも見捨てるのか。
傷物語のネタバレ・今後の展開
暦は立ち去ろうとしますが、急に態度を変え泣き縋りつき助けを乞う美女に良心が揺らぎ助けることにしました。
助ける方法とは全身の血を与えることでした。
そう、彼女こそ、噂の吸血鬼だったのです。
首元を差し出し、吸血鬼を助けた暦は死んだと思いますが、見知らぬ廃ビルで目を覚まします。
自分の居場所と状態を知りたく、不用意に外へ出てしまいます。
外は昼間、さんさんと太陽の出ている時間、日光の元に体が晒された途端、自分の体中が燃え上がりました。
自らの身に起きていることに対して思考が追いつかないうえ、苦痛で身動きが取れなくなる中後を追い廃ビルに連れ戻してくれるものがいました。
引き込まれた廃ビル内で助けられたままの体制の暦に聞き覚えのある声が語り掛けます。
その主は、昨夜助けた吸血鬼のものでした。
しかし、その姿は幼女でした。
四肢が生えているように見えるが、もぎ取られた分のエネルギーは暦一人の血では足りなかったので省エネモードとのことでした。
そして吸血鬼に衝撃の事実を知らされます。
暦は助けた吸血鬼の眷属として吸血鬼になっていたのです。
しかも、この吸血鬼は只者ではなく500年の悠久の時を生きた伝説の吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・アンダーハートブレードだったのです。
傷物語の読んでみた感想・評価
この後暦は人間に戻りたがるのですが、キスショットが交換条件を出してきます。
それは失った四肢を取り戻せとのことでした。
なぜ四肢をもがれる様なことになるのか、誰が四肢を持っているのかなどなど疑問が次々湧く中、敵か味方か本心の分からないおじさん、もとい協力者が現れます。
おじさんが初めに沸いた疑問に答えてくれるとともに、知ったが故の疑問を残していきます。
誰がキスショットの四肢を持って行ったか分かり、取り返すために決闘に挑むのですが相手も人外でした。
吸血鬼になったばかりの暦に四肢を取り返すことができるのでしょうか。
そして、晴れて人間に戻ることは出来るのでしょうか。
このおじさんのまき散らす掴みどころのない感じ、マイペースな吸血鬼、ひとり考え込む主人公、そしてお節介な頭の良すぎるクラス委員長のヒロインとのギャグパートとシリアスパートのバランスが読みどころです。
文章のテンポもよく、途中で飽きることなく一気にラストまで読み切ってしまうと思います。
ギャグパートのテンポがとてもよく一人で笑ってしまう作品!
人外と人外のバトル特有の戦い方や戦い慣れていない主人公の心情が臨場感あふれる書き方がなされているので、日常者に飽きた人や少年漫画が好きな人、刺激が欲しい人にお勧めです。
他にも少しスケベな主人公の目線で書かれているので、ことあることに思想が男子高校生らしいものとなります。
そこからスタートするギャグパートのテンポがとてもよく一人で笑ってしまうほどです。
しかもこれがシリアスと混ざりあっているので、シリアスがあまり得意ではない人でもぜひ読んでほしい作品です。
西尾維新さんの特徴でもあるのですが、登場人物の発言が何処か哲学や倫理じみていて、その度ついつい考えてしまいます。
さらに、伏線も名前から張ってあったりとしっかりしているので、読みながら考察を広げたい人や読み終わった後に感想を語り合いたい人にもお勧めです。
前作とのつながりを知らずとも、一切問題がないのでとりあえず話題の化物語シリーズが読んでみたいという人も楽しめます。