刀語のネタバレと感想【無料立ち読み】

タイトル 刀語
原作・作画 西尾維新・竹
出版社 講談社/文芸

一切の刀剣類を使用しない、己が手脚を強靭な刃と変え、最強の剣術と謳われ、先の大乱をも終わらせた虚刀流(きょとうりゅう)が七代目当主──鑢七花(やすり・しちか)と、彼と深い因縁を持つ、奇策士を生業とする少女──とがめ。

太平の世の天下をも左右しかねない、稀代の天才刀鍛冶──四季崎記紀(しきざき・きき)の創り出したる完成形変体刀十二本を巡る、二人の旅路の先にある結末は?

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刀語のあらすじ紹介

丹波にてぽつり浮かぶ小さな島「不承島」に、かつての大乱の英雄であり、最強と謳われた、刀剣類を一切扱わない無手による格闘技を主とした一子相伝の剣術・虚刀流(きょとうりゅう)を扱う、鑢六枝(やすり ・むつえ)がいると聴き、彼を尋ねて一人の少女──とがめが、一人の船頭を引き連れながら、その流刑の島へと訪れる事から物語が始まる。

目的は自分の野望を叶えるが為。

尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所軍所総監督の地位にいる彼女は、今の天下を平定する尾張幕府内での地位を確かなものとする為に、稀代の天才刀鍛冶である四季崎記紀(しきざき・きき)が創りだした、完成形変体刀十二本の蒐集を画策していたのだ。

かつてその刀で国が一つ滅んだと、また一刀一刀ごとに異様、異能とも言える力が宿り、今の太平の世をひっくり返す事の出来る力を持つ、その刀を集める事で、己の野望を成就させようとする。

自分の一族を滅ぼし、とがめの父──飛騨・鷹比等(ひだ・たかひと)を殺害した、鑢六枝(やすり・むつえ)と虚刀流を滅ぼすが為に、彼女は仇である男の元に訪れる。

が、しかし当の鑢六枝は既に他界し、現在鑢家は長女・鑢七実(やすり・ななみ)と、弟である虚刀流七代目当主弟・鑢七花(やすり・しちか)を残すのみとなり、とがめは鑢七花に天下は欲しくはないかと、誘いをかける……
が、当の本人は世間知らずの島育ち。

天下が欲しくも無ければ、考える事が苦手と、風変わりな男だった。

はたしてとがめの野望は、そして悲願は果たされるのだろうか?

刀語のネタバレ・今後の展開

虚刀流の使い手である鑢七花(やすり・ひちか)を自分の手駒とすべく、不承島へと訪れたとがめですが、当の本人は野心も野望も無い、無欲な人物でもありました。

世間知らずで考える事が苦手だと、そんな彼を自分の手駒にする事に、何故かこだわる彼女。

それは既に四季崎記紀(しきざき・きき)の完成形変体刀十二本を集める為に、異形の忍者集団である真庭忍軍(まにわにんぐん)に、変体刀回収を依頼しましたが、いとも簡単に裏切られてしまったのです。

真庭忍軍もまた太平の時代によってその存在を失いかけ滅びの道を歩んでいましたが、それを回避するが為に、変体刀の回収へと動きだしてしまい、とがめは回収依頼していた筈の刀──完全な強度を誇り、また壊れず折れない絶刀「鉋」を真庭蝙蝠(まにわ・こうもり)に奪われてしまいます。

でもこれでへこたれる様なとがめではなく、忍者が駄目ならとプライドの高い侍である日本最強の剣士である錆白兵(さび・はくへい)に依頼するも、変体刀──薄刀「針」の美しさに心を奪われてしまい、またもや裏切られてしまいます。

進退窮まり、最後の望みを掛け、かつて自分の父親である飛騨鷹比等(ひだ・たかひと)を殺した仇である鑢六枝(やすり・むつえ)こと虚刀流を自分の駒として利用しようと考えますが、当の本人は既に七花に殺され、彼が七代目と知り、自身の野望の為に利用しようとします。

とがめは金で裏切り、またプライドの高い剣士ですらも裏切るのならば、変体刀の魅惑と魔力に負けない美貌を持つ、自分を惚れさせればいいと、七花を誘惑します。

はたして刀集めの旅は成功するのでしょうか?

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刀語の読んでみた感想・評価

現在のライトノベル界を席巻する、大御所作家さんでもある西尾維新先生の送る、初の時代小説であり、また伝奇小説とも言えるのが、この「刀語り」です。

西尾維新先生と言えば「化物語」などの物語シリーズで有名で、また戯言シリーズや、その作品合わせたシリーズ物のライトノベル作品を手掛ける事に定評のある西尾先生の作品の中でも、刀シリーズとも言われている今作。

舞台となるのが戦国の時代が平定された、架空の歴史を歩む事となる日本を題材にし、変体刀と呼ばれる一二本の刀を巡り、数奇な運命に振り回されていく事になる、主人公の虚刀流の使い手である、めんどくさがりな鑢七花(やすり・ひちか)と、彼の父親に自分の父親を殺された過去を持つ、奇策士と自称する、自信家のとがめの二人がこの物語の大きな主軸ともなります。

仇の親を持つ七花と、そんな彼を利用しようとするも、旅路で心動かされてしまう事となるとがめ。

複雑な想いを抱きながら、一二本の変体刀を求めて日本全国を巡り、変体刀の蒐集していきますが、その持ち主との出会いと関わりが、二人を成長させていくと、時代小説ながらもその物語に入りやすい、導入への文体の表現に、またSF要素を取り入れた、パラレルワールドの日本を舞台にしているところなど、新しい時代小説の流れを持ち、ライトノベルの中では扱いが難しいと言われている「時代物」を見事に消化し、一つの作品として完成させた今作は、時代小説でありながらも、伝奇小説としての側面を持ち、またライトノベルとしての時代劇ものを確立した作品とも言える作品です。

西尾維新が描く時代物の世界が楽しめる作品

ライトノベルで時代劇を楽しみたい人に読んでみたい人にまずおススメできるのが、この「刀語り」です。

最近のライトノベルでは、刀や侍に忍者などが登場する時代物は難しいとされており、その中で、あの西尾維新先生があえて挑戦した、新しい形の時代物ライトノベルが、この作品です。

この作品はアニメ化も成功し、またこの作品の派生作品とも言われる「真庭語」や「刀語余話」に「刀語絵巻」なども有名で、ついにはあの西尾維新先生の代表作である「化物語」とのコラボ作品でもある「混物語」なども発表され、ライトノベルの時代物でありながらも、大きな完成へと至った今作品は、難しい時代小説へと入る前の一歩とも言えます。

この小説を読み終えた時、次は少し難しい時代小説をと思えるような、そんな一歩を歩ませてくれる今作が、この「刀語り」の魅力とも言われています。

時代物の難しさに挑む切っ掛けともなる今作。

時代物の難しさを緩和し、読者の時代物と聴いてしまえば躊躇してしまう、そんな気持ちを和らげてくれるライトノベルの色合いを折り込み、作品内の展開と表現など、西尾先生の持ち味が余すことなく活かされ、先生独特の持ち味である個性の作品感がにじみ出ている「刀語り」は、時代物とは思えないような、独特の表現があり、それが一つのジャンルへと誘い、読み手の幅を広げてくれる作品とも言えます。

自分の読むライトノベルの幅を広げたい時、また読む小説のジャンルを増やしたい切っ掛けを作ってくれる、そんな作品です。

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