四畳半神話大系のネタバレと感想【無料立ち読み】

タイトル 四畳半神話大系
原作・作画 森見登美彦・
出版社 KADOKAWA / 角川書店

京都大学農学部にはれて入学し、薔薇色のキャンパスライフを求め、魅惑のサークルに入部するも、決して現実は甘くはなく、不毛な日々に打ちのめされてしまう私。

あの時に、このサークルに入っていればと、こうなってはいなかったと、分岐する数奇な彼の運命の行方は如何に?
四畳半が織り成す、平行世界の「私」の可能性の青春群像劇──四畳半神話大系について!

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四畳半神話大系のあらすじ紹介

下鴨泉川町のさびれた廃墟寸前の下宿である下鴨幽水荘(しもがもゆうすいそう)に住む、京都大学農学部3回生の「私」は、無意味な大学生活を送った事に心底後悔し、映画サークル「みそぎ」に入った自分を、底なしのアホだったと認めざるおえない悔恨の日々を送っていた。

思えば1回生の頃。

京都大学に入学し、華の薔薇色のキャンパスライフを夢想し、純粋な黒髪の乙女と純愛な日々を送るのだと、何の保証もなくに、また何も約束されていない、そんな夢想を現実になると信じて、自主映画サークルに入部した事が、そもそもの間違いであったと今更ながらに後悔してしまう。

自主映画サークルみそぎは、部長の城ヶ崎(じょうがさき)マサキを中心として、彼が主体の彼を祭り上げるだけの映画を撮るためのサークルでしかなく、城ケ崎の独裁体制とも言えるサークル内では、夢のキャンパスライフなんてものは送れるわけも無く、サークル内で完全に浮いた存在となってしまった私。

そんな私の元に訪れたのは、妖怪の様な不気味な顔色をした男だった。

名前は小津(おず)と言い、妖怪のような不気味な風貌を持つ彼は、人の不幸で飯が三杯食べられると、悪行を愛し、悪行を趣味として生きる様な下種な男だった。

何故にそんな近寄ってはいけないような男と、私は意気投合してしまったのかと、今に思えばどす黒い赤い運命の糸に繋がっていると言う小津の言葉が、偏頭痛の様に脳裏に響く。

そんな彼に誘われるがまま、城ケ崎独裁体制の崩落を目論む事となり、映画製作に慢心する中で、行きつけの屋台でもある「猫ラーメン」にて、縁結びの神「かもたけつぬみのかみ」を自称する男、樋口清太郎(ひぐち・せいたろう)と邂逅する事となる。

四畳半神話大系のネタバレ・今後の展開

自主映画製作サークル「みそぎ」に入部してしまったが為に、不毛な二年を送る羽目になってしまった私。

部長の城ケ崎に復讐しようと、悪友であり、また運命のドス黒い糸に結ばれた盟友でもある小津と共に、行動を開始していく事になります。

城ケ崎のプライベートを暴露する映画を撮ろうとして、彼の日常を調べあげる小津。

私とは違い、小津は大学生活を満喫し、不気味な容貌を携え、妖怪の様な雰囲気を持つ彼は、それなりのキャンパスライフを楽しんでいました。

自主映画製作サークル「みそぎ」の他に、秘密機関「福猫飯店」に、ソフトボールサークル
「ほんわか」に、樋口清太郎(ひぐち・せいたろう)と呼ばれる、小津が師匠と呼び慕う、8回生の自由人の弟子と、その他の大学のサークルでそれなりの影響力を持つ人物となっていた彼に、複雑な想いを抱く私。

そんな日々の中で、行きつけの屋台ラーメンである「猫ラーメン」にて、縁結びの神だと自称する樋口師匠に、とある女性との縁を取り持ってやろうと、甘い誘いを受けます。

それは明石さんとの仲を結んでやろうと言う誘い。

よりにもよって小津と私のどちらかに、彼女との縁を取り持とうとする、不届きな申し出ではあるも、私にとって明石さんは気になる存在でした。

明石さんは、知的で冷静かつ黒髪の乙女と、私が求めてやまない女性像であり、また歯に衣着せぬ物言いで周囲の軽率な男を寄せ付けない雰囲気のある彼女と、恋仲に慣れると、その誘いに私はどうすべきなのかと悩みます。

もしただの悪戯でドッキリだったのならと、不安をぬぐえない私。

城ケ崎への復讐に、恋の甘い誘いなど、私は不毛な二年間を取り戻すことができるのでしょうか?

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四畳半神話大系の読んでみた感想・評価

第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞した、森見登美彦先生のお送りする「四畳半神話大系」は、森見先生の個性的な文体で物語られる一人称小説の傑作とも言える作品です。

舞台となる場所は京都。

日本の古都と知られ、日本の歴史に深く関わりを持つ地にて起こる、奇妙奇天烈な四畳半を題材に、主人公の「私」が、幾つもの可能性の中で巻き起こす、薔薇色のキャンパスライフではなく、不毛とも言いながらも、それなりに充実した大学生活を送りながらに、恋を実らせ、成就させる、学園青春群像劇とも言え、またSFとも言える様な、不思議な作品が、今作の最大の魅力とも言われています。

一見すれば難しいような内容の今作品ではありますが、見れば森見先生の持つ世界観に引き込まれてしまい、一人称の文体を読み続け、すっかりと読みこんでしまう程に、中毒性のある、コシの強い作風は、ハズレの無い傑作とも言えます。

またこの作品の最大の売りは、パラレルワールドを取り入れている事です。

パラレルワールドと言えば、SFではおなじみの平行世界の事で、この物語の主人公である私が、もしあの時、あのサークルに入っていればと、もっと別の可能性があったのではと、彼が別の可能性を選んでいたのならと、物語が、運命がと、私視点で様々に変わりゆく世界観など、あり得た可能性を物語とし、4話として綴られる、そんな私のパラレルワールドの結末が描かれていることに、この作品の最大の見せ場があると言えます。

誰しもふと思う、学生時代の可能性。

それを上手くに表現し、一つのライトノベル作品として形作った今作品。

忘れた可能性を思い起こしてくれる、そんな作品です。

SFパラレルワールドが好きな方におすすめ

かつて大学生であった人と、灰色のキャンパスライフを送ってしまったと、後悔する人に勇気をくれる、そんな作品が、今回ご紹介する「四畳半神話大系」です。

このライトノベル作品は、あの「ノイタミナ」でアニメ化された作品でもあり、その独特な作風とセンスで、多くの賞をとった実績のある小説作品でもあり、また作者は、あの森見登美彦先生であり、たぬきシリーズで有名な、あの有頂天家族などを手掛けた御大でもある、そんな彼が書いた、大学生の奇妙な青春群像劇とも言える今作。

もしかしたら、あなたにもあったかもしれない、そんな大学生活の可能性を、如実に描き、それを不思議かつ奇妙に描いているのが、この作品の持ち味とも言えます。

誰もが抱えていただろう、大学生活での夢。

長い受験戦争の果てに見た、思い描いた薔薇色の生活が、創造していたのとは違ったと、打ちしがれていた、そんな頃のあなたの気持ちに決着を付けてくれるのが、この作品でもあります。

もしあの時に選んでいたのならと、読んでいたのなら思わず自分を投影して見てしまう、森見先生の独特な文体の表現に目を追い、いつしか深く読みこんでしまう、その独特な内容は、主人公の「私」を自分として置き換え、読むあなたを奇妙な大学生活へと誘い、不思議な時間を楽しませてくれます。

夢のキャンパスライフを求めていた、そんなかつての想いと、これからにそんな思いを抱く人に、必ず読んでほしい作品でもあります。

四畳半神話大系
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四畳半神話大系
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