| タイトル | 暗黒騎士を脱がさないで |
|---|---|
| 原作・作画 | 木村心一・有葉 |
| 出版社 | KADOKAWA / 富士見書房 |
クラスの気になるあの娘は暗黒騎士。
武骨な漆黒の甲冑の中身は、小柄な金髪美少女。
神へと成る才能を持つ少年──鞍馬啓治（くらま・けいじ）と、異世界の暗黒騎士な彼女──エリーとの恋の行方は如何に？ 両想いなのに気づけない、素直になれない二人のすれ違い恋愛ラブコメディ！
暗黒騎士だって恋をしたい！
暗黒騎士を脱がさないでのあらすじ紹介
鞍馬啓治（くらま・けいじ）は、如何なる人々の欲望を叶える事のできる才能を持つ、波旬の一族であり、神の候補生だった。
想うだけで、自分が想えば、どんな願いも叶える事の出来る力を持つも、それは幸せとは言えなかった。
他の神々から狙われてしまい、人々を堕落させてしまうと忌み嫌われる存在として、人と関わる事を恐れ生きてきた彼は、それでもなおも人への憧れを捨てきれずに、自分の能力を隠して日々を生きていた。
そんな中で、自分を隠さずに、ありのままに生きていた彼女……暗黒騎士である事を受け入れ、暗黒騎士として前向きに生きる、そんな彼女の強さに焦がれてしまった彼は、重厚な漆黒の甲冑に身を包む暗黒騎士の彼女に恋をしてしまう。
彼女もまた、強い意志を宿す瞳を持つ彼に惹かれてしまうも、すれ違い、勘違いしてしまい、思うようには進まない。
彼は知らない。
甲冑の中身の彼女が、小柄で金髪美少女な、同級生のエリーであることを。
二人のすれ違いの恋の行方は如何に……
暗黒騎士を脱がさないでのネタバレ・今後の展開
欲望の神と意味される波旬の才能を持つ少年──鞍馬啓治（くらま・けいじ）は、自分の持つ素性と才能を隠しながら生きてきました。
もし自分が人の持つどんな欲望も叶える事の出来る存在であると知られれば、欲深いものに利用され、また他の神々から狙われてしまうと、その存在を両親にひた隠しにされながらに、寂しい幼少期を過ごしてきました。
人との関わりを持つ事を願い、一人で生活する事を選んだ彼。
学園生活を送るも、自分の存在を押し殺して生きてきましたが、そんな彼の前に、彼女が転入してきました。
エールリンク・ラグナ・ウォルターこと通称エリーは、小柄な金髪美少女と実にハイスペックな外見をしていますが、天然で世間知らずと、少し残念な美少女でした。
彼女は異世界の暗黒騎士であり、とある帝国に使えて居ましたが、異世界を征服してしまい、自分に身の上が危ないと知り、彼の居る学校へと転入してきたわけありな事情を抱えています。
転入初日に漆黒の鎧を身にまとい、登校をし、クラスメイトを引かせてしまいますが、そんな彼女に一目ぼれしてしまう啓治。
でも中身が華奢な美少女とは気づかずに、暗黒騎士な彼女に対する想いと、小柄な美少女である彼女の想いなどに気づかないまま、すれ違いな恋愛をする事になる二人。
啓治を狙った神々の刺客や、またエリーを狙う刺客など、騒ぎは尽きぬ日々。
いったいどうなることやら。
暗黒騎士を脱がさないでの読んでみた感想・評価
学園モノ作品の中で、暗黒騎士が転校してきたと、意表の付く設定で学園ラブコメが開始された今作。
主人公は、特殊な力を持ち、どんな願いも叶える事の出来る事の出来る、神の候補生とチートな能力を持っていますが、決してそれは幸せな事ではなく、人に狙われていき続けてしまうと、過酷な人生を歩んでいました。
自分の素性と才能を隠し、普通の人として生きていた彼ですが、自分は人間ではないと思い知らされる日々を過ごしていきますが、そんな中で彼は彼女と出会ってしまいます。
それは……ファンタジーものでは悪役の位置にいる筈の暗黒騎士。
しかも中身は残念な美少女と、見た目がギャップのありすぎる、そんな彼女の事が気になって仕方がないと、自分とは違い、ありのままの自分を受け入れている、否、受け入れすぎている暗黒騎士な彼女に恋をしてしまうと、少し変わった、いや異質なラブコメディである今作品。
学園モノのノリと、ラブコメディな展開で、暗黒騎士な彼女と、どんな願いも叶えられる力を持つ彼との、波乱万丈な恋愛模様が実に面白い作品でもあります。
暗黒騎士の中身が美少女と、しかも金髪の小柄な美少女とは気づかずに、二人が同一人物とはつゆ知らずに、すれ違いをしていく様が、歯がゆくとも面白く、両想いなのに気づけない、そんな二人に萌えてしまう内容に加え、ギャップのありすぎる暗黒騎士ゆえに、真面目な場面もシュールな展開になってしまうと、独特な笑いとコミカルさが楽しめる今作。
ファンタジーと学園コメディを盛り込んだ、ラブコメディを楽しみたい人のおススメな作品です。
ファンタジー学園ラブコメが好きな方におすすめ
これまでに多くのラブコメを読んできた人と、剣と魔法のファンタジー作品を読んできた人に進めたい作品が、この「暗黒騎士を脱がさないで」です。
作者の木村心一先生。
あの「これはゾンビですか？」で、一役に人気作家になった、ライトノベルの新鋭気鋭の木村先生が手掛ける今作は、暗黒騎士をテーマにした、学園モノのラブコメディと、一瞬ラブコメが成立するのかと思いきや、見事にラブコメにしたのが、この作品です。
暗黒騎士と、聴けばファンタジー作品の中では、実に中二なキャラクター位置にいる筈の、そんな色恋沙汰には無縁な、まして学園モノには絶対に抜擢はされないと、意表を突き過ぎたチョイス。
またその中身が、可憐で華奢な美少女で、アニメが好きで漫画が好きと、しかも世間知らずな残念美少女と、暗黒騎士とは思えないギャップ萌えを加え、本当は両想いなのに、すれ違いをしてしまう残念すぎる二人の恋愛模様と、そんな独特な面白さを踏まえて、ラブコメをしていく、そんな二人の純真さが見ていて面白い作品となっています。
彼らと彼女と登場人物の気持ちの描写をあえてせずに、読者に今どんな気持ちを抱かせているんだろうと、読む読者に色々と伏線を残すなど、読み手を楽しませる工夫など、ライトノベルにおいて斬新な手法を見せてくれる木村先生の作風など、今作も盛り込まれ、また暗黒騎士が学園生活を送るなど、あまりにもシュールな光景は絶妙な面白さを醸し出してくれます。
