狼と香辛料のネタバレと感想【無料立ち読み】

タイトル 狼と香辛料
原作・作画 支倉凍砂・文倉十
出版社 角川書店(電撃文庫)

狼の化身であるホロと,行商人のクラフト・ロレンスが旅をするファンタジー&経済小説。

剣も魔法も活躍しない,貨幣と商人の物語である。

二人は色々な町や都市に赴き,商売絡みの様々な騒動に巻き込まれつつ,絆を深めていく。

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狼と香辛料のあらすじ紹介

独り立ちして七年目,二十五歳になる行商人クラフト・ロレンスは,取引のためにパスロエの村を訪れる。

パスロエは小麦の収穫高の高い村であり,折しも収穫祭の準備中であった。

パスロエの村の収穫祭とは,村の豊穣を司る狼神ホロを奉るものである。

村を後にしたロレンスは,荷馬車に積んだ麦束の中に少女が紛れ込んでいたのに気づく。

さては村を逃げ出した娘かと思うロレンスに,少女は自らを賢狼ホロだと名乗る。

紆余曲折あってホロと旅をすることになったロレンスは,次なる目的地,港町のパッツィオへと向かう。

道の途中で寄った教会で,ロレンスたちはゼーレンという男に出会い,近いうちに銀貨が再発行されるという話を聞く。

パッツィオに着いたロレンスは,毛皮の取引の際にホロの知恵に舌を巻いたり,酒場でゼーレンと契約を結んだり,両替商の知り合いのところへ行ったりする。

そしてロレンスは,ゼーレンに持ち掛けられた取引の裏にあるものに気付き,ミローネ商会に儲け話を持ち込む。

それは銀貨を発行する国王との取引であった。

ミローネ商会との契約を締結したロレンスたちは,ゼーレンの背後にいたメディオ商会から襲われ,ホロが連れ去られてしまう。

取引相手にパスロエの村の男ヤレイがいたメディオ商会は,ホロの正体が狼であることを知っており,ミローネ商会ごと異端者として教会に告発するという脅しを掛けて,ロレンスたちが取引に走らぬよう牽制する。

しかし,メディオ商会が銀貨をめぐる取引を終えてしまえば,どのみちホロは火刑に処されると考えたロレンスは,国王との取引を先んじて済ませ,その利益を対価としてメディオ商会に譲歩を迫るという作戦を立てる。

ミローネ商会の協力を得てホロを奪還したロレンスは,国王とミローネ商会との取引が無事に終わるまでメディオ商会の手から逃げ回ることになる。

地下道で追い詰められたロレンスたちは,ホロが狼の姿に戻ったことで辛くも難を逃れるが,その際にホロに怯えてしまったため,ホロが去ってしまう。

去り際のホロに,ロレンスは,借りを返すまでは逃がさない,と商人らしく叫ぶのであった。

ミローネ商会の取引は成功し,逃げ回っている間に負った傷も快復したロレンスは,ホロが待っていてくれたことを知る。

こうして,ふたりは旅を続けていくことになったのであった。

狼と香辛料のネタバレ・今後の展開

ホロとロレンスは,旅を続けながら,いろいろな取引を巡る騒動に巻き込まれていく。

それは武具の暴落に端を発する借金の返済であったり,黄鉄鉱を対象とする先物取引やホロに惹かれたライバルの商人との争いであったり,ホロの故郷に関する情報を得るために立ち寄った村での毒麦に絡む騒ぎであったりする。

ロレンスは,最終的にはホロを故郷であるヨイツという北の村へ送り届けることを約束して旅をするのだが,その旅路においてすれ違ったり誤解しあったり互いに遠慮をしたりして,実に様々なトラブルが起こる。

そうしながらも様々な者たちと知り合い,旅の道連れもできて,商売に絡む事件も切り抜け,ふたりの絆は次第に深まっていく。

ホロは基本的に,自分が人間ではなく,しかも人間よりもはるかに長命であることから,ロレンスと共にいることが幸せだという事実に対して臆病になっている。

なぜなら,必ずロレンスの方が先に死に,共にいた時間が幸せであったなら幸せであったほど,それを喪った時の反動が大きいと考えられるからである。

そんな風に,常に一歩引いて接しているホロに対し,ロレンスはひたむきに向き合う。

やがてホロの心の障壁を打破したロレンスは,ホロと交際するようになり,最終的には結婚してニョッヒラという温泉地で「狼と香辛料亭」という名の湯屋を営むことになるのであった。

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狼と香辛料の読んでみた感想・評価

本作品は,ライトノベルではあまり扱われてこなかった経済をテーマにしているという点で目新しさがあった。

そうでありながら,キャラクターはちゃんと魅力的であり,中世風の世界観もちゃんとマッチしている。

この作品を読んでつとに感じるのは,経済問題というものの普遍性である。

紙幣を金貨や銀貨に置き換えても,政府を国王に置き換えても,問題の本質は変わらない。

貨幣というのは常に信頼と利便性によって成り立つものであり,取引というのは相手を利用して如何に自分が儲けるかというものなのだ。

また,ヒロインの賢狼ホロは強さと弱さを兼ね備えており,賢さと無邪気さが同居しているという意味において,厚みのあるキャラクターとなっている。

ロレンスを手玉に取り相手の嘘を聞き分ける老獪さ,その反面の幸せを喪うことを怯えるか弱さ,このアンビバレンツな両面が彼女を魅力的にしているのだと思う。

主人公のロレンスも,儲けに目を眩ませつつ,商人としてだけではなく人間としての優しさや甘さも備えており,ホロとはまた別の意味で魅力がある。

彼は剣士でも魔法使いでもないので,力によって眼前の問題を解決することはできない。

その「ままならなさ」を噛み締めながら,それでもロレンスは安易に他者の力を当てにしようとせず,自分なりに利益を追求する。

ロレンスは,自分よりもはるかに寿命の長いホロとどう付き合っていくのか。

それは取りも直さず「幸せであり続ける物語」というものが可能なのか,という問いと結び付いている。

ふたりが導き出した答えは,果たしてどのようなものなのか。

それが,この作品において語られていることなのだろう。

経済をテーマにした異色のファンタジー作品!

経済やファンタジックな世界観が好きだという読者,あるいは剣や魔法もの,主人公が万能であって力押しで問題を解決していくような物語には飽きてしまったという人にはお薦めできる。

また,獣耳キャラが好きだという方の需要にも応えられることだろう。

加えて,あまりヒロインをとっかえひっかえするような話や,ハーレム系の話ではなく,誰かひとりのキャラクターとの関係をじっくり深めていく話が読みたい,という人にもお薦めできる。

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