タイトル | その者。のちに… |
---|---|
原作・作画 | ナハァト・三弥カズトモ |
出版社 | アース・スター エンターテイメント |
将来を約束した長馴染み「アリア」を、世界を救った勇者に取られてしまった、平凡な一般人「ワズ」は、生まれ育った故郷から姿を消してしまう。
失恋の痛手に涙を流しながらに揺さぶられる感情のままに走り進んだ果て、彼が辿り着いた場所は……世界を救った勇者ですら倒すのが容易ではい、凶悪なモンスター達が数多に生息する危険な場所だった。
これは、そんな場所で2年も過ごした、新しい英雄の物語でもある。
その者。のちに…のあらすじ紹介
この物語の主人公となるワズは、平凡な家庭に生まれ、優しい両親と可愛いい妹に恵まれ、将来を誓い合った幼馴染の美少女アリアと、それなりに平和な日々を過ごしていました。
でも教会によりアリアが聖女として認定され、魔王討伐の勇者の仲間として冒険の旅に出てしまった事で、彼の幸せな日々は失われてしまいます。
アリアは最初は勇者との旅を拒絶しますが、両親に説得され、渋々としながら勇者の仲間として旅をする事となってしまった彼女。
そんな彼女の無事を祈り、彼が15歳になる前に、勇者が魔王を倒したとの知らせが届きます。
ワズは、アリアが無事に帰ってくると喜びますが、なんとアリアは勇者と深い恋仲になってしまっていたのです。
しかも、二人がキスをしている現場まで見てしまうなど、ワズは想い人を取られてしまったと嘆きます。
相手は世界を救った勇者。
なにも持たない自分に勝てるわけがないと、彼女との思い出が詰まった生まれた場所を捨て、今はとにもかくにも一人になりたいと、彼は感情のままに家を飛び出してしまいます。
でも、彼が行きついた先は……とんでもない場所だったのです。
その者。のちに…のネタバレ・今後の展開
大好きな幼馴染のアリアを勇者に取られてしまったワズが向かった場所は、人里離れた山奥でした。
でも、その山はただの山ではなく、人々からは禁忌の山として恐れられている場所だったのです。
まず気候が安定せず、常に天変地異並の気候変動が日常化し、極寒の猛吹雪の日もあれば、灼熱の日照り日もあると、生命の息吹く環境ではありませんでした。
しかもそこにはミノタウロスにケルベロスにドラゴンと、ファンタジーにおいては鬼門とされているモンスターが、普通に生息している等、危険極まりない地獄なのです。
そんな鬼門モンスターですらも格下扱いになる程に、凶悪なモンスターが数多に生息し、先読みも出来ない気候変動などの過酷な環境に晒されながら、彼はなんと平然と2年も生き延びてしまいます。
山で倒したモンスターの肉を喰らい、高熱や幻覚などに苛まれながらも、必死に生きこびて、気づいてしまったら自分を襲うモンスターを拳一つで服従させてしまう程に、彼は強くなっていたのですが、その事にまるで気づいていません。
弱い自分でも倒せるのだからと、この怪物は弱いのだと、禁忌の山での生活に慣れてしまっていました。
自分が世界を救った勇者よりも強いのだと気づかないままに、人里恋しくなり、ようやくにして山を下山した彼は、久しぶりに食べる木の実などの味を楽しんでいましたが、そこである事件に出くわしてしまいます。
それはエルフに子供を攫った盗賊団と、その子供を取り戻そうとするエルフ達の現場でした。
いきなりでできたワズに、盗賊団は彼も捕まえようとします。
でも禁忌の山で2年も過ごしていた彼を捕まえる事はできず、反撃を喰らい、盗賊団は返り討ちに合ってしまいます。
エルフ達はワズに感謝をし、彼を村の客人として扱ってくれますが、これが新しい事件と、運命的な美少女との出逢いと、新しい英雄の冒険譚の始まりだと、彼は気づいていません。
はたしてワズのこれからはどうなってしまうのでしょうか?
その者。のちに…の読んでみた感想・評価
世界を救う勇者と、その勇者を助ける為に旅立つ聖女のヒロイン。
王道モノ・ファンタジー作品を見てみれば必ず存在する二人。
でもヒロインにもし、将来を約束した幼馴染がいたらと、この物語の主人公は、その幼馴染である勇者に、愛すべき恋人を取られてしまった男性が、主人公となっていく作品です。
世界を魔王の魔の手から救った英雄である勇者に恋人を取られてしまい、傷心のままに故郷を飛び出してしまった彼が、失恋をバネにして、いつしか勇者よりも強くなってしまった主人公のワズ。
聖剣や魔法に頼る事も無く、自分の拳と鍛え抜いた身体で戦い抜くと、自分の凄さにまるで気づいていない彼は、山から下りた事で、ようやくにして自分の強さに気づいていく事となるのですが、失恋の痛手はいまだに癒えてはいませんでした。
2年も一人でいたせいかすっかりと恋愛に臆病になってしまい、例え女性に惚れてしまっても、思わずに逃げだしてしまうと、恋愛にトラウマを背負ってはいますが、決める時には決めてくれる見せ所など、コメディタッチのバトルファンタジーとして楽しめる作品です。
内容はコメディですが、魔王がいなくなった平和な世界の現状と、意外にシリアスな部分などもあり、その中で彼が取るべき行動とはと、彼が勇者よりも優れた存在になっていくまでの冒険譚が見どころとなるファンタジー作品です。
主人公最強系の作品が好きな方はおすすめ
剣と魔法の世界に新しいタイプの主人公を見てみたいと、またでたらめに強い主人公の活躍するライトノベル作品が読んでみたいと思っている方に、お勧めしたい作品が今作です。
恋人を取られた痛手で強くなってしまった主人公の活躍する物語と、ファンタジーにおいて、剣や魔法などをまるで使わずに、拳と対話で事を成していくと、少し変わった内容の物語です。
気さくに読める話に加え、主人公のワズの持ち前の個性なども見物でもあり、ただの平凡な一般人だった彼が、ひょんなことから超人と化してしまい、どんな敵も一撃で倒してしまえると、はっきりいってチートなライトノベルと思いきや、人情味のある作品でもあります。
以外に読んでいくと主人公の気さくな部分や、面倒見の良い人間味のあるところなど、独特の愛嬌に加え、強いのに以外に小市民な部分など、ヒロイックファンタジーの中でも異色な主人公像とも言える彼のキャラクター像が見どころにもなっています。
そんな彼に恋をする個性的すぎるヒロイン達とのラブロマンスと、ハレーム要素などもあり、充実した内容の作品となっています。