| タイトル | 勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。 |
|---|---|
| 原作・作画 | 左京潤・戌角柾 |
| 出版社 | KADOKAWA / 富士見書房 |
勇者。
それは世界を救う者、世界を破滅へと導く魔王を打倒した者に与えられる称号──だったが、今では効率重視の試験制となった時代。
勇者試験を受ける為に勇者予備校へかかさずに通っていた勇者候補生ラウル・チェイサーは勇者を夢見て日々努力する。
いざ勇者への試験を受けるも、魔王は倒されてしまい、太平の世となり勇者制度は廃止され、世は超氷河期の就職難時代へと突入してしまう。
面接に履歴書と彼が行きついた先は、街の片隅の小さなマジックショップの店員だった。
夢破れた人生に嘆きながらも、日々をあくせくと働いていた彼の前に現れる魔王の娘──フィノ・ブラッドストーン。
魔王の娘であるも、将来の夢は魔界に店を出す事と、大きな野望を持つ彼女と出逢ってしまい、恋と仕事に魔法とバトルと忙しい日々を送る、彼の社畜人生に待ったは無し！
そんな店員勇者とアルバイト魔王のラブコメ接客家電販売員物語「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。
」
勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。のあらすじ紹介
ラウル・チェイサー１７歳は、かつて勇者を夢見てひたすらに努力を続けていた、熱き若者だった。
世界を救う勇者になる為に、魔王を打倒し、おとぎ話の中に描かれていた勇者の様に、なりたいと、勇者予備校へと通い、勇者になる為に猛勉強し、主席を取り、勇者確定と思われていたが、倒すべき魔王が倒されてしまい、世界は平和となってしまう……
ゆえに勇者制度は廃止され、勇者に憧れる時代はあっさりと終わりを告げ、魔界の不景気による超就職氷河期時代を迎えていた、新たな時代。
勇者になれなかったショックで引きこもりになってしまい、立ち直り、就職活動をするも、専門学校生では厳しい時代でもあり、勇者としての成績なんて役に立つわけも無く、写経のようにまとめた履歴書の山と、魔物退治よりも難問な面接官との問答に、ようやく手にしたのは……中小企業のマジックアイテムチェーン店であるレオスタッド商店の正社員だった。
接客とレジ打ちの毎日と過ごして居た中で、かつての勇者予備校の同級生だったアイリ・オルティネートと出会ってしまう。
かつて主席として有望視されていた彼の落ちぶれに落胆する彼女。
俺だってこんな人生を歩みたくはなかったと愚痴る中で、フード付きのパーカーを身にまとう少年に店長を出せと言われてしまう。
クレームかと思いきや、実は面接希望の美少女だった。
それがかつて世界を恐怖に陥れた魔王の娘である──フィノ・ブラッドストーンとの出会いであり、新人教育の始まりだった……
勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。のネタバレ・今後の展開
魔王が倒されてしまい、世界が平和になってしまい、勇者に成れなかった主人公のラウルは、日々を販売員として必死に働いていました。
かつては勇者予備校においてエリートで、将来を有望視されていた彼ですが、世間は甘くはありませんでした。
ダンジョンの進み方や、モンスターの対処方法など、平和になってしまった世界では役には立たず、就職活動も難航してしまい、ようやくに就職しても、予備校仲間だったアイリ・オルティネートに残念がられてしまうと、今の自分の境遇に嘆くほどに、平和な日々に不満を抱いていました。
かつて勇者に憧れを抱いていた時代を思いはせながら、平和になるも今の時代に複雑な思いを抱いていた彼の前に、店長を出せと凄む、小柄なのに奇妙な程の威圧感を醸し出す美少女が現れます。
でも相手がフードを被っているせいで、美少女とはつゆ知らず、また彼女が店長のセアラ・オーガストがスカウトした新人アルバイトと、驚く事になります。
まして彼女──フィノ・ブラッドストーンが、かつて自分が打倒しようとした、魔王の娘であると履歴書を読んでようやくに知り、魔人だと言う事で採用に反対してしまいます。
平和になっても魔人への差別が激しいご時世。
でもセアラ店長の決意は変わらずに、フィノを新人アルバイトとして採用し、彼女の教育をラウルに任せる事になります。
でも彼女は、先客の基本も知らない世間知らずな子でもあり、色々と振り回されてしまう事になります。
はたして正社員ラウルは、魔王の娘を一人前の店員へと教育する事ができるのでしょうか？
勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。の読んでみた感想・評価
かつて焦がれていた勇者に成れずに、四苦八苦の職安通いと企業の採用面接の果てにようやくに手にした職業は、アイテム屋の販売員となってしまった元勇者──ラウル・チェイサーと、世間知らずな魔王の娘であるフィノ・ブラッドストーンとのラブコメ要素と、家電販売員の日常をミックスしたライトノベルである「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。
」は、第２３回ファンタジア大賞にて金賞を受賞した左京潤先生の代表作です。
舞台となる世界は魔法を元にし、動く家電グッズがあたりまえの様に存在する異世界で、魔力で動くドライヤーに魔力で動く洗濯機と妙に現代チックに描かれたファンタジー世界が、この物語の舞台となっています。
でも世界を破滅に導こうとする魔王とその魔王を打倒する勇者が存在し、勇者は試験制度で慣れる花形の職業と、勇者に成れる試験などが当たり前のようにあり、予備校までもがありと、なんともありがたみの無い職業な勇者ですが、そんな勇者に成る為に必死に頑張っていた主人公のラウル。
ですが、魔王が現役で活躍していた別の勇者によって倒されたことにより、勇者に成れるチャンスがなくなってしまいます。
勇者制度も廃止され、勇者の仲間である戦士や魔法使いなどの職業の失業者も溢れる等の就職難なご時世を向かえて居ると、ファンタジーなのにどこか現実と共感してしまう、そんな世知がない世界観で、家電アイテムの販売員として必死に働く事になってしまった彼。
かつての予備校仲間には失望され、こんなはずじゃなかったと、妙な現実感の悲哀が込められた演出と、妙な笑いを醸し出してくれる展開の前に、打倒されてしまった魔王の娘であるフィノと出会う事から、勇者に成れなかった彼の物語が始まる事になります。
フィノはお客様との接客から一般常識などを知らない魔界の住人であり、訪れるお客様によく来たなと尊大な態度をとったりと、お尻を触られるセクハラされてもそれが接客と勘違いしてしまい、最初は世間知らずゆえに色々と問題を起こしていきますが、持ち前の前向きさで次第に周りに受け入れられていきます。
が、魔王の娘であるが故に狙われてしまう問題も多々あり、そんな彼女を救う為に、勇者候補生だったラウルが奮闘していくと、勇者に成れなかった予備校生と、世間知らずな魔王の娘の奇妙なラブコメが楽しめる、そんなライトノベル作品です。
ファンタジー・ラブコメが好きな方におすすめ
就職活動に苦労している人と、自分が想う仕事につけなかった、また接客業をし、新人教育に頭を悩ましている人にお勧めしたい作品が、この「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。
」です。
剣と魔法のファンタジーと思いきや、魔力で動く家電や、妙に現代の雰囲気が入り混じる異世界を舞台に、魔王が倒されてしまい、勇者に成り損ねてしまった、元エリートだった勇者候補生だったラウルと、世間知らずな魔王の娘のフィノとの出会いが、灰色だった彼の生活に潤いを与えてくれると、日々の会社勤めと接客疲れなどを貯め込んでいる人の苦労を晴らしてくれる内容です。
世間知らずな魔王の娘ゆえに、平和な人間世界で働くも、魔人という事で差別されながらも、そんな事も吹き飛ばし、前向きに仕事を頑張る彼女の直向きさに加え、自分の魅力にはまったく気づかずに、肌を晒す事なんてお構いなしにと、女性態勢がまるでなっていないと、ラウル君をうろたえさせながら、ついにはアパートでお隣同士になってしまうと、可愛い美少女とのラブコメ要素もしっかりと押さえています。
夢破れた人の気持ちがありありと描かれ、それを前向きに生きようとする勇気と希望をくれるヒロインであるフィノ。
最初は魔王の娘と辟易しているも、仕事を通して彼女に惹かれていくと、ファンタジーなのにどことなくに現実感のあるラブコメ要素と、時折に見せるファンタジーな展開とが楽しめる、ライトノベル作品です。
